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エロマンガ先生(10){2}(3)

2023-03-09渣翻 来源:百合文库
 本当にアレは、あのときだけの「火事場の馬鹿力」的なものだたらしい。
 俺がいるときでも、一階に降りて来られるようになったし、最近は兄妹一緒に食事を摂ることもできている。いままでと比べて、格段に進歩しちゃあいるが――
 ひとまずは、ここまで。
 いまの紗霧には、これが限界だ。
 急かさず、じっくりと歩んでいこう。
 紗霧自身が、「いつか学校に行きたい」と言っているのだから。
「というわけで、兄さんっ――再配達のお電話、しておいてね」
「……気まずいなあ。あのお兄さん、絶対居留守に気付いてるもん」
「明日の夕方、兄さんがいる時間に届くようにしてね。私、受け取れないから」
「はいはい。わーったよ」
 紗霧を引き連れて、リビングと入っていく。ちょっと前までは、帰宅したら自室直行が 俺の行動バターンだったのだが、最近はリビングで過ごすことが多くなった。
 ――婚約者と、一緒に。
 俺は鞄をソファの上に置くや、
「紗霧、今日はなにやってたんだ?」
「んー、色々。新キャラのラフ描いたりしてたよ」
「お、どれどれ?」
「……見たいの? ええ~、ど~しょかなあ」
「見たい見たい。見せてくれよ」
「――いいよ。はいこれ」
「おおお~~~、いいじゃん! めちゃ可愛い! 新しいネタお思いつきそう!」
「ほんとに? それじゃ、急いで仕上げちゃうね?」
「ははっ、慌てなくてもいいって。―― あ、 そうだ。紗霧、俺、着替えたら買い物行くけど、食べたいものとかある?」
「……兄さんの食べたいものがいい」
 言い遅れたが……婚約者となった紗霧は、俺への呼び方が「正宗」から「兄さん」へと戻っている。そっちの方が呼び慣れているから、とのことだ。
 気持ちはわかるし、俺としてもそっちの方が照れくさくなくていいとも思うが……
 もし……結婚してからも「兄さん」と呼ばれ続けたらどうしよう……
 いや! あくまで俺個人としては、大歓迎というか、大興奮というか、
うっおぉぉぉぉぉ! という感じなのだが!
 
周囲の新郎への目は、つめたかろう。
 
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