【生肉/八月的灰姑娘棒球队官网小说】 第一话 有原翼 最后的比赛(2)
彼が翼に尋ねた。
「まあまあかな」
「不安とかないの?」
軽くちゃかすように問いかける。
「不安、うーん」
翼は少しだけ空を仰いだ後、すっと前を向く。
「これは不安じゃなくて緊張だよ。多分。明日の試合は、中学生活の集大成だから」
「そうだな。……この三年間、有原がどのくらいがんばってたか、俺はっ、」
ぐしゃ、と彼の足元で嫌な音がした。おそるおそる足をあげると、大きなカメムシが潰れていた。
「わっ、カメムシだ」
「……」
彼はわずかに頬を赤らめて、翼から顔を背けた。
二人は横並びになって、同じペースでグラウンドの外周を走りつづける。
「こうやって走ってると、入部したばっかりのこと思い出すな」
ふと隣に並ぶ翼の影に目を落とした。それは彼の影より拳三つ分、離れた場所にある。
野球部の主将となる彼と翼がはじめて出会ったのは中学一年生の春のことだった。
彼が窓際の席に座りながら眠気に抗って頭をもたげている時、ふいに鼻先を柔らかい絹糸のようなものにくすぐられた。目をこすると、目の前に座っている女の子の艶やかな髪が、窓から入る風にそよりと吹かれて揺れていた。
素直そうな子だな、と思った。けれどその第一印象はすぐに更新された。彼女が、数学の教科書を開いているふりをしながら「野球のイメージトレーニング方法」という本を読んでいるのを見つけてしまったからだ。
野球が好きな女の子に出会えただけで嬉しかった。その時はまさか、翼がプレイヤーだとは思いもしなかった。
話しかけてみたいけど、何て声をかけよう。そう二の足を踏んでいる彼に、話しかけたのは翼の方だった。その時は思わず心臓が飛び跳ねた。
「君、野球やるの!? 軟式? 硬式?」
汚れた野球バッグを見て翼は目を輝かせた。
「硬式だけど……」
「じゃあリトルリーグの人なんだね! やった! 同じだ」
「もしかしてマネージャー? 野球好きなの?」
「マネージャーじゃなくて、選手だよ。よろしくね」
翼が強くそう言い切るのを聞いて、そっけなく「よろしく」と答えた。翼はその後も他のチームメイトからマネージャーだと勘違いされ、そのたび何度も「選手です」と胸を張って答えた。はいはいマネージャーも選手と一緒に戦ってるもんね仲間だもんね、と適当に受け取る部員もいたけれど、翼は決してめげなかった。外野の声を、彼女は努力と実力で打ち消してきた。中学生男子の体力を基準にして作られた練習メニューを懸命にこなし、「いつ辞めるだろうね?」とニヤつく男子たちを追い越して、同学年のエースである彼の横を走り続けた。
舰娘病娇最后的指挥官