竜吟虎嘯 第二章

竜吟虎嘯
ナポレオン大公編Ⅱ
　「--------あ！漏れたわ！クソ---------！！あの女のせいで俺様がこんな目に！！！」突如伝わってきた爆発音に興奮状態から引きずり戻されたクレージーホストは怒鳴った。どうやらこの男は変態モードに変わると、性格もそれなりに変わるようだ。
「まさか、この振動の根源は！クソ----！あの役立たず目！」と独り言を言いながら、急速で振動の源の英雄記念碑へと移動していっているクレージーホストは脳裏で何十種の戦術を錬ている。そこで、見えてきた。記念碑のあたりでの惨状がそこから離れている桁に止まったクレージーホストの目に繰り広げられている。
　靄がかかった空には巨大な穴が開いている。あそこから無数な光線が差し込み、その先の光景は何千人も転がってる様だった。高空から見ると、これらの肉体がきちんと綺麗な陣形になってる。陣形の真ん中は英雄記念碑だ。そこでリサが倒れている。
　「どういうことじゃ！！」「旦那様、お下がりください！ここでは私どもでお守りします」「おお---！心強いな！頼むぞ！！！」と金色の服を着ている、小太りの中年男が黒ずくめの人らに言ってた。この様子からすると、彼らは中年男のボディーガードのようだ。中年男の名はナポレオンプラドである。
　「フッ！フッ！」姿が見えないくらいスピードが早い人影が空気を掠めて飛んでき、空中で音を立てた。そしてあの白い人影がナポレオンらの前に飛んできた拍子に三人のボディーガードが倒れた。「お前は何者だ！こ、こちらにいらっしゃるのはナポレオン大公だぞ！下がらんか！」ボディーガードらの一人は殺し屋の強さで驚愕のあまりに、抵抗のように見える言葉しか言えなかったと同時に目に映る景色は逆さまになってきた。「え？--きゃああああああ！！」自分の首がはねられて地面に逆さまに落ちているのに自ら気づき、あまりの恐怖さで大声を出したのである。
　「知ったことかよ、俺様今履いてるパンツが小便でベトベトなんだよ！！」クレージーホストは犬が吠えてるような狂った顔つきで首だけまだ生きているボディーガードの顔を見下ろした。そして思い切りその頭を蹴っ飛ばした。ナポレオン大公はただ沈黙なまま、殺し屋を見つめてる。
者達は静まり返った。（相当の腕前の持ち主だが、チャンスがないでもないな。）兵士長が隣に立つ副手に何かを伝えたか、残りの兵士達が鼓舞されたように恐怖を払拭し、動き出した。「位置に付け！」と兵士長が命令する。八人の精鋭がクレージーホストを囲んで迫ってきている。左の四人が急に加速し槍を両手に持ち、飛び掛かっていった。一瞬にしてクレージーホストは左に刀を払い、四つの槍先が地面に落ちるとともに四人の頭も空へ飛んでいく。「そこだ！かかれ！」と命令された副手は片手剣で敵の首筋に斬撃を仕掛けようとする。あの男はただ刀を持ち、構えて、瞬きの間、姿を消した......次の瞬間に「くっ！」刃先は既にしっかりと小脇から頸部まで入り込んだ。副手は攻撃を先に判断し、頭を刎ねられる前に、なんとか肉身で刀の動きを食い止めたのだ。
「つか...まえ...たぞ」と副手が全身の力を絞って刀身を両手に喰い込むほど握り締めながら、最後の一言を出した。「くらえ！！！」と兵士長が背後の死角から長剣を振り下ろそうとする。クレージーホストは刀の柄から両手を離し、ベルトに当てて、そこから細長く煌々と輝く鞭のような何かを抜き出し、後ろに払う。「ギン」金属がぶつかる音だ。青火が閃く。兵士長の体は剣ごと奇妙な雷神剣にきつく縛られたまま地に横たわり、動くこともできない。「これこそ俺様の真の極意だ！」兵士長の目を見張った顔を前に柄を握り、力を加えて反対側に引っ張る。悲鳴を上げた兵士長が八つに引き裂かれた。戦闘が終わると、周りを見回し始めたクレージーホストは「逃げたか、まぁ---いい。匂いさえ残れば」と、リサを構わず、広場の周りにある民家の屋上へ飛んでいき、この場を去った。
「旦那様、ここでしばらく援軍をお待ちください」「そうするしかないね」英雄記念碑が聳える広場から遠くない路地裏に忍び込んだナポレオン大公と一人の兵士は外の様子を伺いながら話し合ってる。突然、近くから援軍が大勢やってくるように聞こえる足音が伝わってきた。「ナポレオン大公を探し出せ！」との声も伝わってきたが……「おお！さすが民衆たちに尊敬されている旦那様。そんなに援軍を立ててくださいましたとは」兵士は先までの恐怖を払拭し、嬉しそうな顔をしてる。「では、迎えに行きましょう！旦那様！救援に来た兵士達もさぞ喜ぶでしょう！」と言いながら、自ら勝手に隠れ場所から出て、救援を求めていく。後ろには何かに気づき、引き止めようとしたナポレオン大公がいた......